香港に出る前に、現地を見ておきたい

市場調査のご依頼から

レポートは揃っていた。決まらなかったのは、そこではなかった

日本の企業からのご依頼でした。消費財を扱っておられ、香港での販売を検討されている段階です。

市場の規模、消費支出の動向、業界の統計。資料はひととおり揃っていました。調査会社のレポートも購入済みで、社内での報告も済んでいたそうです。

それでも決まらなかったのは、どの価格帯で出すかでした。日本での価格をそのまま持ち込むべきか、上げるべきか、下げるべきか。社内で意見が割れ、資料をいくら読んでも根拠が出てこない。そういう状態でのご相談でした。

見る範囲を先に決めました

ご依頼を伺って最初にしたのは、何を決めるための調査なのかをはっきりさせることでした。今回は「価格帯の判断」です。そこが決まると、見るべきものが絞れます。

香港は狭い土地に性格の違う地区が集まっており、1日で複数の地区を回れます。今回は、客層の異なる3つの地区を選びました。

  • 中環・金鐘
  • 銅鑼湾
  • 旺角

オフィス街、商業の中心、地元向けの商圏。同じ商品でも、置かれ方も価格も客層も違う組み合わせになるよう選んでいます。1地区だけを見て香港全体を判断すると、たいてい外します。

見る項目も絞りました。棚と価格、時間帯ごとの客層、店員の勧め方。それ以外は、今回は見ていません。広く浅く回るより、判断に必要なものを深く見るほうが役に立つためです。

レポートで分かっていたことと、現地で分かったこと

3地区を回って持ち帰ったものを、資料と並べてお渡ししました。資料が間違っていたわけではありません。書かれていないことが多かった、ということです。

レポートで分かっていたこと

市場の規模。消費支出の全体的な傾向。主要な流通の構成。競合の企業名と、そのシェアの目安。人口の構成と、所得の分布。

いずれも判断の土台になる情報で、これがないと話が始まりません。

現地で分かったこと

同じ商品が、地区によって違う価格で売られていること。目線の高さの棚を取っているのがどの銘柄か。値引きが常態化している棚と、そうでない棚があること。夕方以降に客層がまったく入れ替わる店があること。

そして、日本製であることが売り文句になっている店と、まったく触れられていない店があること。

価格帯の判断に効いたもの

いちばん効いたのは、同じ商品の実売価格が、地区によって違っていたという一点でした。

資料には平均的な価格帯が書かれています。しかし棚を見ると、その平均は複数の異なる価格帯を均したものでした。どの地区に出すかを決めれば、通用する価格帯もおのずと決まります。「香港でいくらにするか」ではなく「この地区でいくらにするか」という問いに変わりました。

社内で意見が割れていたのは、全員が「香港の平均」を前提に話していたからだったそうです。

分からなかったこと

売上や在庫の実数は分かりません。競合の原価も、仕入の条件も、契約の内容も取得していません。棚の面積や補充の頻度から傾向を読むことはできますが、それは推測です。報告書にも、そのように記載しています。

また、今回は3地区・限られた日数での確認です。これで香港のすべてが分かったわけではありません。季節や時期による変動も見ていません。判断の材料が増えたということであって、答えが出たわけではないという点は、お渡しの際にお伝えしています。

同じようなご依頼について

市場のご依頼で最初に伺うのは、「何を決めるための調査か」です。出店の判断なのか、価格の設定なのか、既存の販路の見直しなのか。ここが決まると、見る地区も店舗も絞れます。

すでにお持ちの資料があれば、共有していただくと重複を避けられます。資料で分かっていることを、もう一度確かめる必要はありません。

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本ページは実際にお受けしたご依頼をもとにしていますが、依頼元が特定されないよう、内容の一部を変えています。業種、時期、対象とした地区などは実際と異なります。
本ページは総合探偵社トラストジャパン(香港・マカオ担当)が作成しています。当社は日本で探偵業の届出をしている事業者です(埼玉県公安委員会 第43210012号)。
最終更新:2026年9月

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